2018年7月21日土曜日

読書感想文キックオフにおける各3時間で行うこと

「前」の2日間、午前の部・午後の部の3時間で行うタスクとその時間配分

(前段)前・中・後の説明
 前:7月23日(月曜日)と7月25日(水曜日)それぞれ9時からと14時からの各3時間
 中:  8月6日(月曜日)と  8月8日(水曜日)
 後:8月27日(月曜日)と8月29日(水曜日)

 前:読書感想文キックオフ、ヒントに気づく
 中:ヒントを使う
 後:感想文を書き上げてHappyになる
(前段、ここまで)

1.読書感想文講座の説明(30分)

(1)立って自己紹介 ①名前、②学年
 ③読む予定の本または読んだ本の紹介

  ①から③の事柄を受講者6名が3分ずつ話して合計20分を予定

(2)講師の自己紹介 ①所属などの属性
 ②社会人学生であることと本講座をひらいた動機
 ③講義内容以外のお役立ちポイント

  ①から③で5分

(3)前・中・後の講座の流れの説明 5分


2.本の読み方の講義(15分)

(1)読む前に目次を見る 5分

(2)目次をよく知る ・・・・ヒントがいっぱいある 5分

(3)大事なことは目次が教えてくれる 5分

(休憩:15分)


3.自分たちでする作業の時間(90分)

(1)持ってきた本の目次を見る ・・・・講師の手助けあり 30分

(2)本を読んであるなら内容を話してみる 30分

(3)本の内容を見えるように書きだす 30分

(休憩:合計で30分程度)
 参加者の誰かが頭を休めたくなったら、それに合わせて休んでみる。
このような休憩には、アイスブレイク(緊張を解きほぐす)効果が見込める。


読書感想文キックオフですることとその狙い

 読書感想文を夏休み期間中にひとつ仕上げるということは誰もが
苦労することだろう。その苦労を何人かで集まって乗り越える。
集まった受講者は自己紹介を他のメンバーに対して行ったほうがいい。
そして、なるべく自己紹介の内容は各メンバーへ届くようにしたい。
それには、席から立って少し大きな声で行うのがいい。集まった
受講者がお互いを意識して、相互にちょっとした積み上げを行うことで、
誰もが苦労することを、気軽に楽しみながら乗り越えることを目指している。

これらの1.から3.の作業と講義は、午前と午後のような
受講者が入れ替わるタイミングで繰り返す。前の回と同じように行う。
午前から午後まで通しで参加する受講者は、同じことにもう一度付き合う
と思わずに、珍しい与えられ方の繰り返し練習する機会だと思って活用してほしい。

 ひとつの講義はたった5分程度のもので、その講義内容はたいして
珍しくないように聞こえるかもしれない。ところが、その講義内容を
積み上げた先には、文章を書くことに何も困らない新たな自分がいる
ことを想像して、聞いてほしい。そして、文章を書くことに困らないため
には、その前に、文章を読むことに困らない状態がある。このような、
誰もがなんとなくわかる当たり前のことから考え始めてもらいたい。

 講師からの自己紹介で述べたように、自身が読書感想文について
小中学校で、にがい経験をした。この経験は、その後、10年以上にわたって
容易に解決できない問題を残した。この問題の解決の目途がついてきたのは
2017年の年明け頃からだ。このような経験をもとにした、問題の解決の仕方、
問題を生んでしまった習慣を転じさせる方法を、読書感想文が書きあがる
過程で学んでほしい。

2018年7月13日金曜日

2018年度 青少年読書感想文全国コンクール課題図書 中学生向け3冊のポイント

中学生向け課題図書の3冊について

1.書籍タイトル『一〇五度』
(1)書籍タイトルと同じ「一〇五度」という見出しが目次から見つかる
(2)「一〇五度」の章に書いてあることは重要か

2.書籍タイトル『太陽と月の大地』
(1)「はじめに」で把握できる重要なことは何か
(2)「太陽」「月」という語句が見つかる部分を本文中から探す

3.書籍タイトル『千年の田んぼ』
(1)書籍タイトルと同じ「千年の田んぼ」という章見出しがある
(2)「千年の田んぼ」の章にある、それ以前に明らかになったことと
   さらに明らかにしたい問い
(3)参考文献のページは何のためにあるのか


 キックオフ感想文デーの講義にてこれらを取り上げる。
課題図書をみて読むこと、それによって体得していく
方法と、これらのポイントには密接な関係がある。

2018年度の夏休み開講日程と開始時間

2018年度の夏休み期間 開講のスケジュール等

1.前・中・後と3段階で開講する

(1)前:読書感想文キックオフ
 2018年7月23日(月曜日)、25日(水曜日)に開催。
 午前、午後ともに参加希望者の都合にあわせて開講する。
 午前の部:  9時から12時までの3時間
 午後の部:14時から17時までの3時間

 講義形式による中学生向けのショートレクチャーを用意。
 小学生には周りの中学生の持参した課題図書や対象書籍を
見ながら講義を体験してもらう。

 開催場所は文京区役所(シビックセンター)にある会議室を利用する。

(2)中:7月23日と25日の「前」で気づいたヒントを使って
   本を読み切る、半分までは読む、本の内容について書いてみる
 2018年8月6日(月曜日)、8月8日(水曜日)
 (8月6日(月曜日)午前中のみ開催場所が他の日と異なる)

(3)後:読書感想文を書き上げる
 2018年8月27日(月曜日)、8月29日(水曜日)


2.対象書籍と受講対象者

(1)対象書籍

 読みとりを変える方法の体得には中学生向けの課題図書が必要。
 ただし、受講して作文するために読む書籍は課題図書に限定しない。
 受講者が持参した書籍を読むための留意点を個別にレクチャーする。

 受講者が読書感想文を書く対象書籍として選定したものは、
事前に連絡してもらえれば要点をおさえる方法をレクチャーする。

(2)受講対象者

 小学校低学年から中学生までを対象とする。
 本講座には、高校・大学と続く学びにおいて役立つ読み書きの方法を
体得する目的がある。そのため、中学生になって最終的な理解度を測る
ことが必要であろうと想定している。
 小学生のうちから、学校で習う国語の授業とは異なる読みとりを
試してみることには価値がある。小学生からの参加の場合、単年で
終わらずに翌年の受講も検討いただきたい。


 本投稿の記載内容は、確定や変更によって更新をおこなう
 最終更新日:2018年7月21日

2017年度 青少年読書感想文全国コンクール 課題図書 『ホイッパーウィル川の伝説』

姿はかわっても姉妹の愛情は変わらない――『ホイッパーウィル川の伝説』を読んで――

 私は、兄が突然亡くなったら、やはり悲しむのだろうか。

 親しい人の死を経験したのは、数年前に亡くなった祖父の死だ。ただし、親しいといっても年に数回も会うことのない人の死に対して、私はとても悲しんだという覚えがない。

 この本の主人公である妹のジュールズは、亡くなった姉のシルヴィの失踪にショックを受けつつも、姉の足跡を追っていく。すると、姉妹の母の死のあと、姉のシルヴィが必死に生き急いでいたことがわかった。それはまるで、つねに全速疾走をしているかのようだった。
 「もっと速く走らなくちゃ。」繰り返し、願い石の裏から現れるこの言葉から、姉の、父や妹への愛が静かに伝わってくる。
 私はいま、ジュールズのように兄を思ってはいない。兄も、シルヴィのように妹の私を思ってはいないだろう。

 本当にそうだろうか。物語のように、兄弟姉妹の思いを受け取るのは亡くなったあとなのではないか。兄が私を思っていないだろうと思い、だから、私は兄のことを特に思わない。そんな考えでいいのだろうか。
 妹と父を残して亡くなった姉のシルヴィは、時を同じくして森で生まれた狐のセナに、ケネンとして宿り、妹を見守っている。生まれる前から自身がケネンであり、その役目を知っていたセナは普通の狐である兄の静止を聞かずに走る。いまも人であり、あるときは妹であったジュールズに近づき導いていく。

 ジュールズはもちろんセナの名前を知らない。狐に姉であったシルヴィが宿っているなどと考えはしない。このひとりと一頭をつなぐのは、人であったときに身に着けていたヘアバンドを、セナがジュールズに渡すことだ。その、狐としてはとても危険な行動によってつながる。物語の最後に、セナはジュールズを守ってその命を落とす。まるで、シルヴィが命を落としたときと同じようにセナも命を落とすのだ。だが、ジュールズはそんなセナの思いは知らず、狐が偶然に助けてくれたと思っている。

 この物語は、生きている人の思いが直接に親しい人へ伝わることはとても稀であることを示している。それは、亡くなったあとも同じだ。ジュールズのように、セナの助けを借りて偶然に見つけなければ伝わることはないのだろう。
 めったに伝わることのない思いを兄から受け取っていないから、だから、私も兄が亡くなったとしても悲しまないのではないか。そんなふうに考えることが、私がその人から伝わってこない思いがあることを知らないのだと気付かせてくれた。この本は、伝わらない人の思いがたくさんあることを教えてくれた。

 年に数回しか会わない祖父が、私をどんなに愛おしく思ってくれていたか。思わずにはいられないであろうことを私はわかっていなかった。だから今日、家に帰ったら、母に亡くなった祖父が私のことをなんと言っていたか聞いてみようと思う。